AOSデータ社「AI実装社会における働き方、HR(人事)データから経営戦略を学ぶ」第3回AI-MISフォーラム開催レポート

第3回 AI-MIS™ × AI/DXフォーラム September partⅡ
~AI基盤経営情報システムHR部門DXとベストオブブリード~

日本のDX推進の課題解決に貢献するため、AOSデータ社は、各業界で活躍されているベンダー様と共に協力しながらAI基盤の経営統合管理システムAI-MISの普及に推進しており、2024年9月25日に、「AI-MIS×AI/DXフォーラム September part Ⅱ」 ~AI基盤経営情報システム HR(人事)部門DXとベストオブブリード〜というテーマで日経ホール、カンファレンスルームにてフォーラムを開催し、多くのお客様にご参加いただきました。

ご挨拶「AI-MIS™×AI/DXフォーラム HR部門に向けてのベストオブブリード」

AOSグループ 代表 佐々木 隆仁

 「AI-MIS(AI経営情報システム)× AI/DXフォーラム」は、今回で第三回目を迎えました。今回は「HR(人事)部門のDX」をテーマにJIPDECの坂下哲也氏からのAIの社会実装と2030年頃の働き方についての基調講演など、HR分野に詳しい講師の方々に講演いただきます。HR部門においては、中小企業の8割以上が人事関連データマネジメントに課題を感じているといった統計があります。本フォーラムを通して、こうしたHR分野の課題に対し、近年注目を浴びているAIを活用することで解決を促進できるのではないかと感じています。

基調講演「AIの社会実装と2030年頃の働き方」

一般社団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)常務理事 坂下 哲也 氏

JIPDEC常務理事の坂下哲也氏には「AIの社会実装と2030年頃の働き方」という題材で基調講演を頂きました。
AIの進化が進み、AIの利用が増えていくほどに個人情報の扱いが難しくなっているなど、AIの進化の歴史を解説。生成AIを利用していた企業や自治体に対しての調査の結果を紹介され、生成AI利用には、利用側にも一定の知識が必要ということや、それに伴うガイドラインがあると良いという提言を頂きました。そして生成AIによる画期的な業務の効率化は、産業革命と似ている点があり、それは労働者の業務を細分化してその一部をAIによって代替していることであるとの考え方も示されました。また生成AIを使用する際のリスクについてもお話しくださいました。生成AIは嘘を生成する(ハルシネーション)ことがあるため、自身で検証可能な知識内で運用する必要があり、また生成AIから生まれた嘘の伝播力は高く、注意が必要であるとのことでした。そしてこれらの他にも4つのリスクが挙げられました。1つ目は生成された内容の説明可能性、2つ目は公平性とバイアス、3つ目は品質保証、4つ目は情報漏洩のリスクでした。
最後に生成AI利用の今後の展望について、日本の人口が減少していくなかでAIを専門分野に通じた部下として位置づけ、いくつも使いこなし、個人の生産性と創造性を向上させることが求められるとの展望を紹介頂きました。

Session1 「全業種の核となるAI-MIS™ベストオブブリード HR」

AOSデータ株式会社 取締役CTO 志田 大輔

AOSデータの志田は、HR部門におけるDXをテーマに、データの一元管理とAI活用による業務効率化の重要性をまず挙げました。AI時代に「人、物、金、情報」の4つの経営資源の中で最も大事な資源が「人」であると、なぜならAI革命の時代にAIに適した人材を素早く見極め、育成し、モチベーションを管理をする企業こそが、時代の覇者となるからです。そのために解決すべき大きな課題として、HRデータだけでなく、社内業務のあらゆるデータが分散管理され、データの正確な保存・管理・活用が不十分な現状を指摘しました。本フォーラムのテーマでもある「AI-MIS」AI基盤経営情報システムとは、現在使われているシステムを丸ごと入れ替えることなく、企業の規模や業種に合ったベストオブブリードのシステムを取捨選択して、それらのシステムと連携して、AI活用に適したデータを統合管理するためのソリューションです。そして、統合管理に最も適したデータ管理プラットフォームとして「IDX」(https://www.idx.jp/)を紹介しました。このプラットフォームにより、採用や人材育成などのHRプロセスを統合管理し、データを一元化することで業務の効率化を図ることが可能です。特に、人事システムや、人事に関するドキュメント以外の通常業務のデータやシステムも含めて「IDX」をデータ統合管理のハブと位置付けることにより、HR部門の改善や社員のエンゲージメント向上などのソリューションもこれまでにない多彩な解決案が期待されます。IDXは国産プラットフォームとして、大容量データの安全な保護・保存・共有を強化する点で優れており、日本企業の成長をサポートします。さらに、AI技術とデータ活用により、優秀な人材の確保やスキルアップが促進され、HR部門全体のさらなる進化が期待されます。

Session2 「デジタルHRプロジェクト:セプテーニグループにおける総合データ効果的活用と人材戦略」

セプテーニグループ株式会社 人的資産研究所 代表取締役 進藤 竜也 氏

セプテーニグループ内に設置された人材研究組織「人的資本研究所」では、『人材育成の方程式』を掲げ、データやテクノロジーを活用したHR施策および研究成果の外部提供を行っています。同研究所の代表取締役 進藤竜也氏からは、デジタルHR推進の背景と目的、HR分野における統合データの活用をテーマに講演いただきました。
セプテーニグループはIT技術の拡大とともに成長を遂げてきた一方、同時にIT人材の採用に課題を感じてきた背景から、データに基づいて人材を選択し、育成するという科学的な人材育成構造を築きました。その中で『人材育成の方程式』を編み出し、パーソナルデータの活用や従業員の評価の定量化などにより、信頼性評価アルゴリズムを実現しました。こうしたHRデータを活用して採用から適応、育成、アルムナイという一連の流れで人材を活かしています。各過程において、データに基づく個別最適化を行うことで、従業員体験(EX)の向上を狙い、EX向上を通じたデータ基盤と土壌づくりといったDXの流れを目指しています。

Session3 「ベンチャー企業が取り組むべきHR×AIの必須施策」

株式会社RYOMA 代表取締役 阿阪 滉貴 氏

株式会社RYOMAの代表取締役 阿阪滉貴氏からは「ベンチャー企業が取り組むべきHR×AIの必須施策」という題材で講演を頂きました。同社は20代の若手を中心としたキャリア支援と採用プランニング事業の2つの事業に注力しています。有効求人倍率3倍にもかかわらず採用成功率20%、転職直後に再転職を検討する人の割合が80%など採用する側と採用される側でのミスマッチが多く起こっているという現在の転職市場の分析結果が紹介されました。このミスマッチを解消するためのAI活用を推進していく中で重要になるのがデータの量と質です。例えば採用候補者のデータは従来の採用側の直観に頼ったものだけではなく、適性検査などで定量化されたデータを十分に集める必要があり、同社ではこの定量化事業を進めています。最後にHRにおいては採用候補者を「見極める」ことはAIで実現可能だが、候補者を「惹きつける」ことは人材の力が必要であり、人間が必要な仕事とAIで効率化可能なもののすみわけが重要であるとの考えが示されました。

Session4 「人事DXの必要性と推進を阻む障壁について」

ジンジャー人事DX総研 フェロー 堅田 康太 氏

 
ジンジャー人事DX総研フェローの堅田 康太 氏からは、人事部門が本来の役割を十分に果たせていない現状について講演いただきました。人事には、定型業務と人材育成・タレントマネジメントという2つの大きな役割がありますが、現在は定型業務に80%の時間が割かれ、人材育成に必要なリソースが不足しているため、人事部門が本来の役割を十分に果たせていないという課題が挙げられました。加えて、人事データが多様化・複雑化し、データが分散しているため、定型業務の効率化も困難になっています。
これらの課題を解決するために、同社は定型業務を自動化し、人材育成により多くの時間を割くことを提案しています。そのソリューションとして、クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供しており、労務管理や勤怠管理、給与計算などの業務をAIによって効率化しています。同社は「人を活かして事をなす」というビジョンのもと、AIによる業務の効率化により生まれた時間を人材育成に活用し、企業の成長を支える仕組みを構築しています。このように、HR分野での効率化と人材育成の強化を通じ、企業が持続的な成長を実現できる環境を目指しています。

Session5 「奉行 HR DX Suiteが提供するベストプラクティス運用の価値」

株式会社オービックビジネスコンサルタント 営業本部 ERP推進室 課長代理 嶋村 悠佑 氏

CMの『奉行シリーズ』で知られる株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)は、HR部門向けに『奉行クラウド HR DX Suite』というSaaS型のプラットフォームを提供しています。同社の嶋村悠佑氏より、奉行クラウドサービスの他社サービスとの違いと特徴について講演していただきました。
HR領域における様々な企業から提供されているサービスの数は、2023年に日本マーケット全体で1000件を超えており、各企業のHR部門では、様々なベンダーのツールをAPIで連携させ利用する手法が主流になっています。しかしながら、API連携においてはデータ連携のための手作業が多く残っており、業務効率化には至っていないという課題がありました。こうした背景から開発された奉行クラウドサービスは、各項目が既に連携された「標準運用型」のサービスです。奉行クラウドでは「自由設計型」の他社サービスと比較して、自由にカスタマイズできない分、採用や人事評価、雇用契約管理、休・退職や再雇用といったイベントや、それに関わる様々な手続きが詳細に設計されています。このような労務系のサービスは「自由設計型」と「標準運用型」のコンセプトを理解して選択する必要があります。

まとめ

第3回AI-MISフォーラムは、HR(人事)部門についてのシステム連携、データ活用についての考察をHR分野のデータスペシャリストの方々をお招きして貴重な講義を聞かせていただきました。「JIPDEC」坂下氏の基調講演では、AI時代のデータリスクマネジメントについて2030年までに備えるべき課題が明確になりました。技術の進歩に伴う新たなガバナンスについても考える必要があります。本フォーラムにご参加いただいた皆様にとって、AI時代の新たな人事システムや人事データの活用術で次世代の経営戦略が見えてきましたでしょうか?

▪️次回、第4回 AI-MIS 経営情報フォーラム×AI/DXフォーラム October
~生産管理部門DXとベストオブブリード~のお知らせ

第4回は、製造現場の要とも言える、生産管理システムに関わる開発会社や、トップベンダーが語る生産管理部門のDXとベストブリードをテーマに「AI-MIS」システムとの連携を視野にその最先端の事例をご紹介します。生産管理部門のデジタル変革(DX)を進めるには、別々のシステムに蓄積されているデータをAIで活用できるようにする環境作りが必須です。具体的にどのようにデータを活用し、迅速な意思決定、売上アップ、業務効率改善を実現するかのベストプラクティスを学びます。
詳細、お申し込みはこちらから → https://www.idx.jp/mis/forum4/

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