AI時代のサイバー防衛戦略を徹底討論!
AIデータ社、「AIエージェント×AXフォーラム ~サイバーセキュリティ~」開催レポート

企業データとAIの利活用カンパニー、AIデータ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 佐々木隆仁。以下AIデータ社)は、5月21日に、政府が戦略的に推進する重要17分野の一つである「サイバーセキュリティ領域」におけるAI活用とAXをテーマにAIエージェント×AXフォーラムを開催しました。
生成AIの普及に伴い、サイバー攻撃の高度化が急速に進む中、企業には、新たなセキュリティ戦略が求められています。本フォーラムでは、AI参謀、AIトラスト、ゼロトラスト、フォレンジックなど最前線の知見をもとに議論しました。


セッション1

「サイバーセキュリティはITの問題ではない —経営判断と実行能力の2レイヤー戦略」

AOSグループ代表 佐々木 隆仁

弊社佐々木は、サイバーセキュリティを単なるIT部門の課題ではなく、「企業経営そのものを守るための経営課題」として捉えるべきだと提言した。近年のサイバー攻撃は、工場停止や物流網の寸断、顧客情報漏えい、ブランド毀損など、企業活動全体に直接的な影響を及ぼしており、攻撃対象はITシステムから企業経営へと広がっていると指摘。特にAIの進化により、攻撃の速度・規模・巧妙さが飛躍的に高まる中、従来のツール中心の対策だけでは十分ではないと述べた。その解決策として、「何を守るかを決める経営判断レイヤー」と「守り続ける実行レイヤー」の2レイヤー戦略を提示。AIを活用して技術情報を経営判断へ翻訳し、経営と現場をつなぐ仕組みの重要性を解説した。また、企業が目指すべき姿は「攻撃されない組織」ではなく、「攻撃されても事業を継続し迅速に回復できる組織」であると強調し、サイバーセキュリティを企業競争力と経営継続能力の視点から再定義した。


セッション2

「AIエージェント時代のサイバーセキュリティ ─ 自動車・ロボット研究から読み解く、組織を狙う新たな脅威と対策」

VicOne株式会社 執行役員 技術統括 原 聖樹 氏

原氏は、自動車やロボットなどのフィジカルAI領域におけるサイバーセキュリティの最新動向について解説した。AIの急速な普及に伴い、AIそのものを標的とした攻撃や、AIを活用した高度なサイバー攻撃が現実の脅威となっていると指摘。プロンプトインジェクションによるAIの誤作動や、AIエージェントが動作する環境を狙った攻撃事例、さらにはロボットへの不正侵入によって安全機能を無効化できる実証研究などを紹介し、フィジカルAI特有のリスクを説明した。また、最新の生成AIモデルの登場により、脆弱性の発見や攻撃コードの生成が従来の数百倍の速度で行われるようになり、攻撃者優位の状況がさらに加速していると分析。一方で、防御側もAIを活用することで脅威検知や脆弱性発見の精度と速度を大幅に向上できるとし、「AIによる攻撃にはAIによる防御で対抗する時代が到来している」と強調した。最後に、AIは人間の判断を置き換えるものではなく、人間が把握できる範囲を広げ、より迅速な意思決定を支援する存在であると述べ、AI時代のサイバー防御の方向性を示した。


セッション3

「AIエージェントが守る —2レイヤー戦略、AI InfraSec on IDXによるリアルタイム実演」

AIデータ株式会社 取締役CTO 志田 大輔

弊社志田は、サイバーセキュリティを「経営判断」と「現場実行」の2レイヤーで捉えるAIデータ社のアプローチを紹介し、「AI InfraSec on IDX」のリアルタイムデモを通じて、その実践的な活用方法を解説した。講演では、製薬企業を想定したケーススタディを用い、経営層が守るべき重要資産を特定する上位レイヤーと、現場で脅威を検知・分析・対処する実行レイヤーが連携する仕組みを紹介。特許・技術情報・競合情報・アクセスログなどを統合し、AIが「情報資産」「リスク」「監査」「インシデント対応」「教育」などの役割を担う“7人のAI参謀”として分析を実施する様子を実演した。さらに、インシデント発生時には、被害状況の把握から封じ込め、経営判断のための選択肢提示までを一貫して支援し、迅速な意思決定を可能にすることを示した。最後に、サイバーセキュリティは単なる防御ではなく、企業の競争力や事業継続力を高める経営基盤であると強調し、AI PMO×MOAT OSによる次世代セキュリティ運営の可能性を提示した。


セッション4

「あなたの組織はどこから始めるか ― AIトラストの設計と実践」

株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役 CTO 渡辺 洋司 氏

渡辺氏は、企業における生成AI活用が加速する一方で、ガバナンスやセキュリティ対策が追いついていない現状を指摘し、「AIトラスト(AIへの信頼)」を軸とした組織運営の重要性について解説した。市場調査の結果から、多くの企業でAI利用ルールの整備や運用体制が十分でなく、情報漏えいや権限管理、プロンプトインジェクションなどのリスクが顕在化していると説明。特にAIエージェントの普及に伴い、外部ツール連携や過剰な権限付与による新たな脅威が生まれていると警鐘を鳴らした。その上で、同社が推進する「AIトラストボード」の取り組みを紹介し、「トラスト・バイ・デザイン」「最小権限」「データと知能の分離」「可観測性」「ヒューマンオーバーライド」の5つを信頼設計の原則として提示。さらに、AIガバナンスやデータ管理、インシデント対応を含む包括的なガイドライン整備の考え方を解説した。最後に、AI活用を止めるのではなく、可視化とルール整備を進めながら実践を重ねることが重要であると述べ、「まずは利用中のAIツールやMCPサーバーの棚卸しから始めるべき」と具体的なアクションを提案した。


セッション5

「バキバキAI使います 〜 攻撃者はバキバキAIを使って攻撃の自動化を図ります。の話 〜」

株式会社レオンテクノロジー 代表取締役社長 守井 浩司 氏

守井氏は、サイバー攻撃者の視点から、生成AIが攻撃プロセスをどのように変革しているのかについて解説した。近年、AIを利用したサイバーインシデントが急増しており、2025年はすでに前年を上回るペースでAI関連の事故・事件が発生していると指摘。講演では、サイバーキルチェーンの各工程に沿ってAI活用の実態を紹介し、特に「偵察(Reconnaissance)」と「配送(Delivery)」の工程でAIによる効率化が著しいと説明した。SNSや公開情報から標的企業や担当者の特性を短時間で分析し、最適な攻撃シナリオや標的を導き出すことで、従来よりも大量かつ高精度な攻撃が可能になっているという。また、AIによる要約・分析能力の向上によって攻撃者の属人性が低下し、専門技術を持たない攻撃者でも高度な攻撃を実行できる環境が整いつつあると警鐘を鳴らした。一方で、現時点ではAIによる攻撃も既存のセキュリティ対策や基本的な防御策で十分対応可能であるとし、過度に恐れるのではなく、資産管理やログ監視などの基礎対策を徹底する重要性を強調した。最後に、「AIを使う攻撃者に対抗するためには、防御側もAIを活用し、サイバーキルチェーンを断ち切ることが重要である」と述べ、AI時代の実践的な防御のあり方を示した。


セッション6

「古い医療・産業機器をゼロトラスト化する「SA1」の不可視化テクノロジー」

ベリフィケーションテクノロジー株式会社 代表取締役 竹内 秀人 氏

竹内氏は、医療機器や産業機器など、長期間運用されるレガシー機器が抱えるサイバーセキュリティ課題と、その解決策として開発された「SA1」の不可視化テクノロジーについて紹介した。近年、医療機関や工場ではネットワーク接続された機器が増加する一方で、OSやソフトウェアの更新が困難な機器も多く、脆弱性を抱えたまま運用されるケースが少なくないと指摘。従来のゼロトラスト対策では対応が難しいこうした機器に対し、「見えない・触れない・攻撃対象にさせない」という発想でセキュリティを実現するアプローチを解説した。講演では、通信経路の制御や機器の存在自体を外部から認識できなくする技術により、既存設備を大きく変更することなくセキュリティレベルを向上させる仕組みを紹介。特に医療現場や製造現場では、システム停止が許されない環境が多いため、機器の稼働を維持しながら防御を強化できる点を強調した。さらに、ランサムウェアやサプライチェーン攻撃への対策としても有効であると述べ、レガシー機器を抱える組織における現実的なゼロトラスト実装の方向性を提示した。


セッション7

「インシデント初動対応を迅速化!個人情報の有無と操作履歴を即確認するフォレンジック活用術」

リーガルデータ株式会社 代表取締役CEO 森田 善明 氏

森田氏は、サイバーインシデント発生時に企業が直面する初動対応の課題と、フォレンジック技術を活用した迅速な事実確認の重要性について解説した。近年、ランサムウェアや不正アクセスによる情報漏えい事故が増加する中、企業には被害状況の把握と関係機関への報告を短時間で行うことが求められている。しかし実際には、「個人情報が漏えいしたのか」「誰が何を操作したのか」が分からず、対応が長期化するケースが少なくないと指摘した。講演では、PCやサーバーに残されたログや操作履歴を解析するフォレンジック調査の手法を紹介し、個人情報の有無やアクセス履歴、ファイル操作の実態を迅速に可視化する事例を解説。さらに、初動段階で正確な事実確認を行うことで、被害拡大の防止や法的リスクの低減、経営判断の迅速化につながると説明した。最後に、インシデント対応は発生後の調査だけでなく、平時からログ管理や証跡保全の体制を整備しておくことが重要であると強調し、企業におけるフォレンジック活用の実践的なポイントを示した。


登壇者による特別セッション

左から、志田、原氏、渡辺氏、守井氏、竹内、森田、佐々木

特別セッションでは、各講演者が登壇し、AI時代におけるサイバーセキュリティの未来像や企業が取るべき対応について意見を交わした。議論では、自動車やロボットなどのフィジカルAIが普及する中でのセキュリティリスクや、AIによる攻撃・防御の高度化、医療機関や製造現場におけるレガシー機器の課題、フォレンジックによるインシデント対応など、多様なテーマが取り上げられた。登壇者からは、AIの進化によって攻撃者・防御者双方の能力が飛躍的に向上する一方で、企業にはデータ管理やAIガバナンス、情報資産の把握といった基本的な対策の重要性が増しているとの見解が示された。また、AIは人間の仕事を奪う存在ではなく、判断や分析を支援し、生産性や競争力を高めるためのパートナーとして活用すべきとの認識で一致した。さらに、サイバーセキュリティを単なる防御活動として捉えるのではなく、企業が保有するデータを統合・活用し、経営判断や新たな価値創出につなげる「攻めの経営資産」として活用する可能性についても議論が展開された。最後に、AIとデータ活用を前提とした新たな企業競争力の構築が今後の重要課題であるとのメッセージでセッションを締めくくった。


「AIエージェント×AXフォーラム ~防衛~」ハイブリッド開催

AIデータ社では、6月23日(火)に「防衛」をテーマとした「AIエージェント×AXフォーラム」の開催いたしますので、ぜひご参加ください。

  • フォーラムの詳細はこちら:https://www.idx.jp/forum/june/
  • 日 時:2026年6月23日(火) 14:00~16:40(受付開始 13:45)
  • 会 場:日経ホール&カンファレンスルーム(東京都千代田区大手町1-3-7 日経ビル6F)
  • 対 象:防衛関連メーカー(重工・電機・IT 等)/防衛装備・研究・技術・運用部門/経営企画・技術戦略・DX担当参加費:無料
  • 参加費:無料
AIデータ株式会社について
  • 名 称:AIデータ株式会社
  • 代表者:佐々木 隆仁
  • 設 立:2015年4月
  • 所在地:東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町ビル4F
  • 資本金:1億円(資本準備金15億2500万円)
  • URL: https://www.aidata.co.jp/

AIデータ社は、データインフラと知財インフラを基盤に、20年以上にわたり企業や個人のデータ資産を守り、活用する事業を展開してきました。9,000社以上の企業、90万人以上のお客様から信頼を得ており、データ共有、バックアップ、復旧、移行、消去を包括する「データエコシステム事業」では、BCNアワードで17年連続販売本数1位を獲得しています。
データインフラでは、IDXのクラウドデータ管理や復旧サービスを提供するとともに、経済産業大臣賞を受けたフォレンジック調査や証拠開示サービスを通じて、法務分野でも高い評価を得ています。一方、知財インフラでは、グループ会社の特許検索・出願支援システム『Tokkyo.Ai』や特許売買を可能にするIPマーケットプレイスの構築により、知財管理と収益化を支援。これらを統合し、生成AI『AI孔明TM』によるデータと知財の融合プラットフォームを展開しています。また、防衛省との連携による若手エンジニア育成にも注力し、データ管理と知財保護を通じて社会基盤の強化に貢献しています。