AOSデータ社「オートテック×AI/DXフォーラム」開催レポート CASEの未来予測: 自動運転、コネクティビティ、ビッグデータとAI/DXで進化する自動車テック最新事例

~CASEの未来予測: 自動運転、コネクティビティ、ビッグデータとAI/DXで進化する自動車テック最新事例~

AOSデータ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 春山 洋 以下AOSデータ社)は、自動車関連産業のDXおよびAI活用の推進を目的に、「オートテックxAI/DXデータフォーラム」を、2023年7月7日に開催しました。本レポートでは、講演の抄訳をお届けいたします。また、本フォーラムは動画でもご覧いただけます。

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自動車産業のDXを支える、セキュリティとサービス提供を両立するデータ管理

■「Data to AI企業へ」 

AOSデータ株式会社 五十嵐 司

コネクテッドカーや、自動運転、電動化などのオートテック分野においても、大量のデータの収集や管理、解析が必要となり、厳しい安全性とセキュリティが求められます。AOSデータは、厳しい基準のセキュリティが求められるリーガルテック分野で過去20年以上のデータ保管・復旧・共有の技術開発やサービス提供の実績があり、高いレベルのデータセキュリティとデータ共有や活用を両立するサービスを提供しています。

「オートテックにData to AIエンジンを実装せよ! オートデータプラットフォーム AOS IDX」

AOSデータ株式会社 取締役 志田 大輔

オートテックとは、自動車の設計、製造、運転、交通インフラにおける技術革新を指し、2020年のグローバル市場規模は、約2190億ドル、2027年には2倍の4310億ドルに拡大すると予測*されています。100年に一度の変革と呼ばれるCASE(Connected, Autonomous, Shared & Service, and Electrification)の技術変革が進む中、オートテックのデータ分野で様々な活用が広がる一方、技術面やコンプライアンスの課題、リーガル面の課題などもあります。 そのような課題を解決するため、AOSデータでは、自動車業界のデータを安全に守る自動車データプラットフォーム「AOS IDX」を提供、またオートテックのAI学習に必要なシンセティックデータを提供しています。 データシェアによる利便性が増すほど、危険性も増加するため、AIデータディリスキング(リスクを小さくすること)も必要です。フェイク動画データも出回る状況になっており、AIにおけるテクノロジーのリスクもあり得るため、ディープフェイクフォレンジックを通してリスクを低減し、犯罪捜査をサポートしていきます。 *出典)GREENWICH CAPITAL GROUP:https://greenwichgp.com/wp-content/uploads/2022/11/Q3-2022-AutoTech-Industry-Update.pdf

「自動運転レベル4解禁!自動運転バスの運行管理技術と日本における社会実装の現状」

BOLDLY株式会社 CTO 須山温人 氏

ボードリーは、自動運転社会実装ベンチャーです。ソフトバンクの100%子会社として自動運転の車を社会実装に向けて取り組んでいます。自動運転車両を使い、自動運転車を実用化するためのサポートや、必要な技術やサービスの開発を行なっており、茨城県境町、東京都羽田、北海道上土幌町、愛知県日進市の4か所で、自動運転車の実用支援を提供しています。 国の目標は、2025年に40か所、全都道府県で自動運転の実証実験を行なっている状態であり、2023年自動運転レベル4が解禁され、実用化に向け無人運転のレベル4サービスを開始しています。ボードリーでは、自動運転車両運行プラットフォーム「DISPATCHER」を開発し、モビリティ運用に必要な機能(遠隔監視・制御、運行管理、業務管理、予約機能や配車、可視化と分析、車内監視AI、インフラ連携、映像配信と通話)を網羅し提供しています。30車種以上の車両を同じ操作で運行管理し、20種以上のユーザアプリやインフラシステムを「DISPATCHER」を介して接続しています。「DISPATCHER」を使うことで、ガイドラインに自動的に準拠することができ、レベル4対応のための「冗長化」や何かあった際の「止める仕組み」、「緊急車両がきたら停車させる仕組み」などを実装し、リスクを最小化しています。車の監視と共にインフラも監視し、車内監視AIにより、バス走行中に人が歩いたら転倒防止のための対応や、「座ってください」などのアナウンスなども行ない、レベル4レベルの運行をサポートしています。LINEで予約を受け付けて、自動運転車を配車指示するなども実現しています。 茨城県境町の自動運転の実証実験では、住民の利便性向上に大きく寄与し、運行開始から約1年半で地域にもたらした経済効果は総額13.4億円以上と試算しています。

「自動運転時代の移動体験価値の創出に向けて~S.RIDEが推進するタクシー産業のDXとモビリティエンターテイメントの探索~」

S.RIDE株式会社 代表取締役社長 橋本洋平 氏

タクシーアプリ「S.RIDE」とは、ソニーグループとタクシー事業者のジョイントベンチャーが提供している、ソニーのAI/IT技術と決済システムが組み込まれたタクシー事業者と共同運営しているアプリケーションです。東京を中心とした都市圏の、タクシーのヘビーユーザによく使われておりであり、時間を効率的に使いたい多忙なビジネスパーソンと、法人契約をターゲットにしたタクシーアプリ配車サービスです。起動後ワンスライドで配車が可能など、使いやすいUI/UXで高い評価を得ており、株主のソニーペイメントサービスにより、スマートペイメントソニーグループの信頼性の高い決済システムにも強みを持ち、アプリでのネット決済キャッシュレスペイメントも増えています。タクシーヘビーユーザ向けの高付加価値サービスを提供する月額サブスクリプションサービスだけでなくで、法人向けサービスも提供しています。 具体的には、CABカードモバイル決済による業務利用の適正化や一括請求業務によるの簡便簡素化、コンカーやマネーフォワードなどの経費精算サービスと連携し経費精算の省力化をサポートするなど、様々なサービスを提供しています。 アプリのダウンロード 数は180万件を突破し、コロナ前と比較して54倍以上と急速な成長を遂げています。サービス提供エリアは、東京を中心に、大阪、千葉、茨城、埼玉、神奈川、愛知、大阪、宮城、茨城などにて展開中で、今後も順次拡大予定です。 さらに、自動運転時代に向けた今後は、「移動」を再定義し、Productive、Precious、Personalの3つのうち、最も差異化が可能な分野がPreciousとPersonal、すなわち移動する上での乗車体験の向上が差異差別化の要点と考え、「Canvas」と「強力なコンテンツIP」の連携等、移動とエンターテインメント、スポーツ、食事などをパッケージ化し、例えば食事とDisneyの組み合わせといった楽しい目的を持った移動など、移動自体に付加価値を付けることで新しい移動体験を提案していきます。 自動運転時代が到来し、ロボットタクシーなどが具現化すると、コストが激減し安価で利用しやすいサービスになるなど、ビジネスモデルや提供価値が大きく変わり激変し、移動の考え方がタクシー業界に与えるインパクトは大きく変わると考えています。 そうした時代の自動運転社会(シェアリングカー)の到来に向けてたアセットの蓄積を行ない、高付加価値な移動サービスを支えるプラットフォームの構築に継続的に取り組んでいきます。

「自動車業界におけるエッジAI活用の展望」

株式会社エイシング AIソリューション開発本部副本部長 三柴智大 氏

自動車やスマートフォン、家電製品といったエッジ端末をエッジデバイスと呼び、そこにAIを入れて動作させるのがエッジAIです。エイシングの強みは、マイコンに省メモリで搭載できる超高速の独自AIの研究開発です。大手メーカー出身のシニアエンジニアが多数在籍し、機械への適応力が高く、検証用デモ機を内製できる設計技術を持ち、また高い組み込みの実装力を保有しています。エイシングのエッジAIは、“学習”と“予測”を共にエッジで実施しています。エッジAIが製造業の現場で求められる理由は、1.通信コスト削減、2.即応性、3.現場での機器の使われ方や経年変化に対応する現場適応、の3つがあります。 エイシングのAI製品群は、機械制御(Memory Saving Tree)、異常検知(MSAT++)、画像認識/音声認識(AiirDNN)があり、キロバイトクラスのRAMで動作する省メモリ、予測時間はマイクロからミリ秒の高速、そしてMCU上で新規や追加学習ができるオンライン学習といった特徴があります。 ベテランドライバーの運転制御をAIに学習させ、適切な運転動作を推奨するAIモデルを経て、自動運転への適用と展開していきます。また、AIによる自動運転車社内環境の空調や運転支援などの最適制御や、製造業メーカーやユーザのデータを得て、AIアルゴリズムに提供していくなどを計画しています。

「走行データが拡張するトラストの未来」

Global Mobility Service株式会社 経営戦略本部 経営企画室 新規事業開発チーム 西山直希 氏 

GMS(Global Mobility Service)は、「真面目に働く人が正しく評価される仕組みを創造する」をビジョンに掲げ、Mobility×FinTechで世界の貧困/低所得層約 17億人の信用創造を行う、日本発の金融包摂型 FinTech のグローバルスタートアップ企業です。 Global Findex database (2017)によると、ローンを活用できず車を購入できない人口が約15億人、日本でも返済能力があるにもかかわらず、従来の与信審査には通らない方が200万人/年いると考えられます。 GMSは、新たな与信モデルの根幹となる技術、多様なモビリティを安全に遠隔でエンジン起動制御できるデジタルデバイスMCCS(Mobility-Cloud Connecting System) と、モビリティデータの可視化・分析、金融機関や決済システムとの連携が可能なMSPF(Mobility Service Platform)を開発し、金融包摂型のサービスを提供しています。MCCSとMSPFによる車両エンジン遠隔起動制御により、金融機関のデフォルトリスクを低減して多くの人にファイナンス機会を創出、さらに提携金融機関とのFinTechマイカーリースで就業の機会を創出しています。 従来の与信が過去の履歴にもとづいていたのと比較し、GMSの与信は、車両にデバイスをつけて運転能力を診断し、モビリティデータをトラスト(人間性の裏付けや運転能力の証明)に変換し、現状から将来にわたる収入を評価することで、与信を行ない融資を可能にする仕組みであり、累計ファイナンス創出額は200億円を超えています。 GMSでは、モビリティデータを補完するユーザーアプリの開発協力企業や、ビッグデータのAI分析(スコアリング等)が得意な企業、ブロックチェーン技術を保有している企業など、トラストについてPoC企業を募集しています。

「自動車CSMSの対応状況およびCSMS整備におけるデジタルツールの活用」

PwCコンサルティング合同会社 Technology & Digital Consulting マネージャー周 文琦 氏

  自動車のサイバーセキュリティ対応の国際基準 UNR155では、車両OEMはサイバーセキュリティに対応したプロセス(CSMS)の認証取得と車両の型式認可取得にあたって、サプライチェーンを通じたサイバーセキュリティ対応の実証が求められ、サプライヤーはOEMがプロセス認証と車両の型式認可を得るために必要なサイバーセキュリティ対応が求められます。 サイバーセキュリティ法規に準拠するための国際規格としてはISO/SAE 21434が普及しており、同規格では、『脅威分析とリスク評価(TARA:Threat Analysis and Risk Assessment)』として要件(Requirement)と推奨(Recommendation)がまとめられ、脅威分析を起点としたリスクベースのアプローチでサイバーセキュリティ品質を説明しています。PwCの調査では、回答者の全員が、自動車のエコシステムにサイバー攻撃が激増すると予想しており、91%がOEMとサプライヤーのセキュリティ対策の一層の連携強化が必要と回答、さらに89%のOEMが今後の自動車販売においてサイバーセキュリティの成熟度向上が明確な競争上の優位性になることに同意しています。 法規制に対応するための最も重要なパートである脅威分析は、OEMやサプライヤーが自社の製品に起こりえる脅威シナリオを定義し、適切なセキュリティ施策を検討・導入するために、深いセキュリティ知識に基づき、脅威分析とリスク評価に多くの時間を割くことが求められています。脅威分析がサイバーセキュリティの品質に直結し、全体のセキュリティリスクに反映されていきます。 これらに対し、PwCではCSMSサポートプラットフォームとして、クラウド上のWebアプリケーション「WP29 CSMS Support Platform(WCSP)」=TARA Moduleを提供しています。これは、脅威分析を効率的に実施するためのウェブアプリケーション(SaaS)です。利用者は、Web上にある分析画面にアクセスすることで、ISO/SAE21434の分析プロセスに沿う分析を実施できます。分析用の脅威DBは常にPwCが収集・分析した最新の脅威や攻撃情報に更新され、精度の高い脅威分析を提供しており、ユーザは分析品質を向上させ、情報の収集・分析の手間を削減することができます。

「レベル4実現のための道交法改正とMaaSビジネスの法務」

森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 戸嶋浩二 氏

  自動運転に関する法規制はさまざまありますが、国内法では交通ルールである道路交通法、責任関係では自賠法、自動運転車の安全確保として道路運送車両法が特に重要です。 このうち、道路交通法は、レベル4の実現に向けて2022年4月に成立し、2023年4月1日より施行されました。改正道交法では、限定地域での遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスが「特定自動運行」として許可により可能となりました。特定自動運行では、定型的・一般的なルールは自動運転システムが代替することとなりますが、個別具体的な現場対応や運転操作以外の対処は人が行なうこととなります。従来の道路交通法は運転者を規制していましたが、改正により事業者を規制するとともに、自動運転システムについては道路運送車両法が規制しており、基準に適合しない場合はリコール等を行なうことになります。 また、自動運転中の事故の責任については、運転者がいないと責任を負うべき主体がいないと思われがちですが、レベル3-4の自動運転についても従来通り「運行供用者」(自動車の保有者)が責任を負うことになります。MaaSビジネス、モビリティサービスの法規制は、自動車に乗せるのがヒトの場合は道路運送法が、モノを載せる場合は貨物自動車運送事業法が適用されます。 MaaSというと、ライドシェア(ライドヘイリング)を認めるべきかという点ばかりが注目されますが、それだけではありません。たとえば、ヒトを乗せる一般旅客自動車運送事業も、一般乗合、一般貸切、一般乗用というように分かれており、ICTの進化により現実化してきた「乗合タクシー」をタクシー事業者(=一般乗用)が行おうとしても、「一般乗合」の許可がないため原則としてできないという問題があります。タクシー事業者としては、1)一般乗合旅客自動車運送事業の許可、2)道路運送法21条に基づく例外許可、または3)相乗り通達(2021年11月施行)に基づく相乗りタクシーのいずれかの方法を採る必要があります。また、道路交通法の改正によって、電動キックボードや自動配送ロボットの通行が可能になるなど、MaaSのための規制改革は徐々に進んでいますが、まだ課題は残されていると思います。 コネクテッドカーを利用したサービスには、eCall(緊急通報)サービスや、テレマティクス保険、車両診断・故障診断、安全運転支援などがあり、乗客データ(生体情報)、車両データ(位置情報・作動状況)、外部データなどが収集されます。車両の位置情報は、それ単体ではある時点における自動車の位置(緯度・経度)を示す情報に過ぎませんが、詳細な位置情報と時間から個人が特定される可能性があり、また収集情報の組み合わせによりセンシティブな情報が新規生成される場合もあり得ます。事業者としては、識別できる個人(所有者、運転者、同乗者、歩行者など)を定義し、インターフェースや機能の工夫を行ない、情報の管理に留意することが望まれます。


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