AOSデータ社、X-Techの「ビューティーテック×AI/DXフォーラム」開催

AIがデザインする次世代の美容と健康、最新ビューティーテックとウェルネスDX事例

クラウドデータ、システムデータ、リーガルデータ、AIデータなどのデータアセットマネジメント事業を展開するAOSデータ株式会社は、ビューティーテック分野のDXおよびAI活用の推進を目的に、「ビューティーテックxAI/DXデータフォーラム」を2023年11月9日に開催いたしました。

ビューティーテックは、メイク、スキンケア、ヘアスタイリング、ファッション、医療、健康など、さまざまな産業や分野で重要な役割を果たしており、最新技術と美が融合したこの分野の最新動向には、美容業界のみならず各界から注目が集まっています。そのような関心の高まりを受けて、本フォーラムも熱心な視聴者のご参加をいただきました。本レポートでは、フォーラムの抄訳をお届けします。

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「ビューティーテックxAI/DXフォーラム」では、慶應義塾大学医学部 拡張知能医学講座教授 桜田一洋氏、パーフェクト株式会社 代表取締役社長 磯崎順信氏、日本航空株式会社 事業開発部 サウナテック事業統括 岡本昂之氏、アクティア株式会社 代表取締役 北野幸雄氏、株式会社Novera 代表取締役CEO遠藤国忠氏が登壇、最先端のDX推進やAI活用の事例を発表いただきました。

 

「Data to AI企業へ」 AOSデータ株式会社 執行役員CSO AI・DXデータ事業部長 宮本 琢也 

データのライフサイクルマネジメントと品質向上、リスク管理の重要性の啓発を行い、日本のDX推進に貢献するため、AOSデータは「お客様のデータと共に」という理念のもと、各業種の先進企業のDX推進やAIデータの活用事例、リスクマネジメント事例などをご紹介する「産業DX/AIデータフォーラム」を企画しています。

2023年10月には「ビューティーテックカオスマップ2023版」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000316.000040956.html)を発表いたしました。

美容分野やそれと密接に関係する健康分野は、有史以来、人間にとって重要な関心事項でしたが、2023年に入りAIブームが世界に到来したことを皮切りに、大きな変革を遂げています。人々の美しさや美容サービス・製品の品質を高め、新たなビジネスモデルを生み出す可能性を秘めているビューティーテックは、先端技術の進化を受けて、美容産業をさらに躍進させています。AOSデータは、変革のただなかにある美容業界のDX推進をサポートして参ります。

 

「人とAIが創る未来の美容・健康サービス」

慶應義塾大学医学部 拡張知能医学講座教授 桜田一洋 氏

慶應義塾大学 医学部 拡張知能医学講座 教授の桜田一洋氏からは、アカデミズムの観点から、美容と健康の領域において、AI時代の新しいサービスの考え方やプラットフォームに関するご講演をいただきました。

高度な医療による病気の治療から、美容や健康サービスによる予防へと、世界的に人々のニーズが移り変わっています。そのような変化を受けて、基盤モデルと生成AI、AI技術の現状、サービス デザインの考え方、サービスプラットフォームのあり方などにフォーカスして、美と健康に関するデータを活用したビジネスについてご講演が展開されました。

美容の領域は、自分自身が他者(自己の外)からどう見えるのか、すなわち“アウトサイドイン”の観点で捉えられる側面があります。一方で情報の受け取り手の感覚や美感の観点、すなわち“インサイドアウト”という観点もあり、美の領域はその2つの観点から考える必要があります。

人間は、脳の前頭前野に存在する眼窩前頭皮質が司る内受容感覚によって「美」を認識しているとされています。従来の美容サービスは、例えばスキンケアに関して言えば、「肌理(きめ)」についてはこの治療、シワについてはこの治療、といったように、細部で切り分けられたサービス展開になる傾向がありました。しかし医学的知見が明らかにした人間が美を認識するメカニズムに着目すると、多感覚を統合した形で美を想定していくことが、人々に美を感じさせる上で有効であると考えられます。「メイク」や「ファッション」などと切り分けてバラバラでサービス展開するのではなく、より総合的に美のサービスを展開していくこと、また内受容感覚への介入を美容・健康サービスに導入していくことが有効であるといえるのです。

 

「未来を切り拓くビューティーテック: AI&AR革命の舞台裏と未来展望」

パーフェクト株式会社 代表取締役社長 磯崎順信 氏

パーフェクト株式会社の磯崎氏は、AIとARを駆使し、全世界で美容業界のDXを牽引してきた立場から、最新のビューティーテックの実情についてご講演されました。

パーフェクト株式会社は2015年創業、台湾に本部を置き、11か国14拠点でグローバルに展開、B2Cの旗艦アプリと位置付けられるバーチャルメイクアプリ「YouCam メイク」を筆頭に全5アプリの合算で10億ダウンロードを突破しています

AI/ARによる新しい消費者エンゲージメントプラットフォームを、数多くのブランド・小売店・メディアに向けて提供し、エコシステムを確立した実績も紹介されました。ARによるバーチャル試着の分野では、自然な試着体験の実現のためには、AIの活用が必要になっています。いかにその商品と顧客とのタッチポイントを増やしていくかという観点から、自然なショッピング体験を実現し、そうすることによってエンゲージメントを強化、ひいては売上増加につながります。

光の屈折や反射も正しく表現することを可能にする最新技術の活用によって、「忠実な再現性」を実現しており、このことがオンラインでのショッピング体験としてユーザーにご満足いただくために重要な要素となっています。

昨今話題の生成AIに関しても注力しており、写真をもとにさまざまなセルフィーやアバターを生成したり、ファッションスタイル、衣類、ヘアスタイルなどを生成したりすることによって、まだ挑戦したことのないスタイリングを誰でも手軽に試すことを可能にしています。

 

「ビューティーテックにData to AIエンジンを実装せよ! ビューティーデータプラットフォーム AOS IDX」 

AOSデータ株式会社 取締役 志田大輔

AOSデータでは、ビューティーテック業界のデータを統合管理するデータプラットフォーム「AOS IDX」(https://www.aosdata.co.jp/productline/aosidx/)を提供しています。 AOSデータの志田は、ビューティーテックに欠かせない核となるデータに関して、またビューティーテックにおけるデータプラットフォームの活用に関して講演しました。

ビューティー産業分野にて扱われるデータは膨大かつ非常に有用であると同時に、人の容貌や身体情報、健康情報など、センシティブな個人情報を包含しうる分野であることなどから、その管理には大きなリスクも伴います。

一方で日本は独自の美容文化や伝統、和漢の美容成分や手法など、美容業界における大きなビジネス・ポテンシャルを秘めており、日本の美容製品や美容トレンドには世界中から関心が集まっています。

そこで、日本独自の価値と可能性を秘めたビューティー産業を、ビューティーデータ活用によってさらに躍進させるために、「AOS IDX」を活用していただくことが有効です。「Data to AI」のコンセプトのもと、情報の安全な保護・保存・共有を可能にする「AOS IDX」によって、ビューティー分野のDXをご支援してまいります。

 

「JALがサウナ事業!?サウナ室の混雑状況を可視化するDXソリューション」

日本航空株式会社 事業開発部 サウナテック事業統括 岡本昂之 氏

アクティア株式会社 代表取締役 北野幸雄 氏

日本航空の岡本氏は、2018年にJAL Sauna Club(JALサウナ部)を設立したことに端を発し、2019年に社内ベンチャーチーム「W-PIT」を起点に約200社の企業が加盟する企業コミュニティ「JAPAN SAUNA-BU ALLIANCE」を設立。さらにサウナツーリズムを軸とした事業「JALサ旅」を立ち上げました。

本フォーラム冒頭では、サウナを旅の目的とした旅行需要の喚起などに関する実績をはじめとして、サウナを軸にした多様なマーケットポテンシャルが紹介されました。

従来は、サウナの主なユーザーは中高年男性というイメージがありましたが、2000年代の第3次サウナブームを契機として20代・30代の若年層男女から支持され、現在においては単なる一時的なブームで終わらず近代的な若者カルチャーとして定着するに至っています。

「サ旅」に続く第二のサウナ事業ブランドとして2023年に立ち上げたのが、「”機能検索“ から ”混雑検索“ の時代へ」をコンセプトに掲げた「TOKYO SAUNIST」です。

これは、サウナマーケットの最重要課題を「混雑」と捉え、テクノロジーを活用した混雑状況の可視化、それによる混雑の平準化に挑戦した新事業になります。このようなソリューションを技術的に可能にしたのが、後述のアクティア株式会社と日本航空とのコラボレーションでした。

アクティア株式会社の代表を務める北野氏からは、技術的な観点やビジネス的な観点などを中心に「TOKYO SAUNIST」の実例が紹介されました。

「TOKYO SAUNIST」は、高精度センサ技術により人を検知・カウントすることでサウナ室内の混雑状況をリアルタイムに可視化するプラットフォームサービスです。

このシステムによってサウナ事業に関する課題が解決可能となりますが、この課題解決を世に広めていくことが重要であり、その観点から、導入先を増やすために行われている取組が、コスト削減と売上貢献です。

コスト削減は、混雑状況のモニタリングによってスタッフ配置の人数を適切に調節することなどで実現しています。サウナという施設の性質上、万が一とはいえお客様が倒れている可能性もあり、そのような状況を確認するための巡回コストの削減にも寄与しています。

売上貢献に関しては、このシステムを用いてサウナが混雑していない時間帯が把握できることから、その時間帯にクーポンを発行する機能などによって、混雑していない時間帯にお客様を呼び込む施策を打つなどしアプローチしています。

また、今後はこのプラットフォームをベースに、新たに広告事業(DOOH事業)も展開していきます。サウナの混雑状況をリアルタイムで表示するモニターに広告枠を設け、温浴施設へととのいに来ているユーザに対して訴求する広告枠販売を実施します。既に様々な広告主からお問い合わせがあり、順次広告サービスを拡充しています。

 

「”導入のしやすさ”で選ばれるプロ仕様のAI肌診断「skinsense」と肌データの可能性」

株式会社Novera 代表取締役CEO 遠藤国忠 氏

株式会社Noveraは、特許取得した画像認識などのAI技術を強みに、カスタマイズしたAIソリューションを提供するなど、日本のAIシフトを推進し、世界へ発信しています。AIビジネス全般に渡って実績を持つ中で、特に美容部員400人以上の知見を学習したAI肌診断「skinsense」の基となった、高スキル人材の「勘」や「経験」をAI化するユニークな特長を持っています。

本フォーラムでは、業界初のAI肌診断をノーコードでマーケティング活用するECサイト機能拡張サービス「skinsense」の技術上およびビジネス上の特長や、実際の導入事例などが紹介されました。

400名超の選りすぐりのトップレベル美容部員らに、AI設計に沿ってプレサーベイ(現場視察、ヒアリング、アンケートなど)を行い、AIに学習させる教師データを収集・作成しており、このことが技術上の独自性の一つとなっています。

このようなビューティーテックビジネスの知見や実績を踏まえ、「肌データの可能性は、教師データ次第で決まる」「AIの設計が大事」といった美容分野におけるAI活用のポイントが紹介され、好評を博しました。

 

「ビジネスアイデアを簡単に特許に!生成AIが変える産業の未来」

Tokkyo.Ai株式会社 取締役COO 平井 智之 氏

Tokkyo.Ai株式会社の平井氏からは、美容業界において、生成AIや知財によってビジネスアイデアを活用する方法などが紹介されました。

Tokkyo.Aiが展開する「プライベート特許検索®」では、生成AIの活用によるアイデアのブラッシュアップや具体化を行い、AIテキスト検索やキーワード検索を経て、パテントマップや用途探索などを用いた分析まで行うことができます。すなわち、ビジネスアイデアのライフサイクルを、ワンプラットフォームにてシームレスに担うことができる点に強みをもっています。

本フォーラムでは、「プライベート特許検索®」のデモンストレーションが行われ、会場の注目を集めました。平井氏の登壇によって、ビューティーテック業界においても、次世代のビジネス創設にはAIが欠かせない存在になる未来が提言されました。

 


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